家づくりでお客様とお話しをするときに必ず出てくるのが建設費の問題です。
当然できる限り低コストで住宅を手に入れたいという方が多いのですが、みなさんは住宅Aと住宅Bとどちらを選ばれますか?
どんなに建設費が高額でも、生活にはあまりかかわりはありませんが、毎月の住宅に係る全てのコストが1,000円変わるというのは大きな問題ではないでしょうか?家づくりで大切なのは、ずばり「ランニングコスト」なのです。
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建設費は氷山の一角
実は、家づくりにおいて建設費というのは住宅にかかる全ての費用の氷山の一角なのです。
・見えにくいコスト
税金
固定資産税などは住宅を購入してはじめて気づくコストです。
金利
住宅ローンを利用する場合、最も高いコストが金利です。
しかし金利が全体としていくらになるのかということは把握が困難です。
光熱費
住んでみないと実感しにくいのが光熱費です。
電気、水道、ガスの費用が毎月3万円だとすれば、これだけで約1,000万円分のローンに匹敵します
(金利1.296%/年、35年固定金利の場合)
保険料
住宅瑕疵保険、地震保険、火災保険など住宅に係る様々な保険があります。
全て足すと100万円近くになることも。
メンテナンス費用
屋根や外壁の塗装、畳や障子の張り替え、床の表面処理などの費用。
修繕費
扉や壁、基礎や屋根等の修繕にも費用がかかります。
リフォーム費用
住まい手のライフスタイルや居住人数によって間取りや使い勝手の変更にもお金がかかります。
メンテナンス+修繕+リフォームで年間平均30万円というデータもあります。
解体費用
住宅も寿命を迎えると最終的には解体されます。これも何百万円というコストがかかります。
・見えないコスト
宅内の移動距離
宅内の導線が悪いと毎日の生活に小さなストレスがかかります。
災害等による損害リスク
火災、台風、地震などによって住宅が被害を受ける場合があります。
その住宅に住めなくなるリスク
転勤や家族の事情により一時的に住めなくなったり、売却の必要がでる場合もあります。
金利上昇による支払額の変動リスク
金利が上昇することによって月々の支払額が上昇する可能性があります。
医療費
断熱性能が低い住宅や化学物質が多い住宅、結露がひどい住宅の場合、風邪をひいたり健康を害する可能性が高くなります。
これにより医療費が多くなったり、仕事を休んだりしなければならなくなります。
ランニングコストを下げる方法は?
全体の費用でみれば小さな建設費に注目するより、見えにくいコストと見えないコストに注目するほうがランニングコストは下がります。
例えば次のような方法があります。
①国の認定基準で住宅を建てる
長期優良住宅(新築·リフォーム)やZEH(ゼロ·エネルギー·ハウス)、省令準耐火仕様にすることで様々なコストが下がる場合があります。
資産価値が安定することで、住めなくなった時のリスクも安定します(適正価格で売却できる可能性が高いため)。
下がるランニングコスト
金利(フラット35の場合)、税金(住宅ローン減税の枠増加)、光熱費、火災保険、地震保険、修繕費、災害リスク、医療費
②省エネ性能をアップする
窓の性能向上をはじめとした断熱性能のアップ、高効率エアコンの採用などによって
エネルギー消費を減らすことができます。
また健康維持にも貢献します。
下がるランニングコスト
光熱費、医療費
③メンテナンスが少なくて済む資材を選ぶ
住宅のメンテナンス費用は高額なものが多く、最初の資材選択を誤ると後々のランニングコストが高額になる場合もあります。
また建設当初の資材費は一般的には住宅ローンで支払いますが、メンテナンス費用は突然一括で支払う心要があるため家計への影響も大きいのです。
外壁
約10年ごとに塗装とコーキング打ち替えで50万円~150万円程度のコスト。
光触媒系の外装板や高耐久のコーキングを利用することで30年間メンテナンス不要になることも。
屋根
約10年ごとに塗装が心要で、30万円~70万円程度。
陶器の瓦を利用すれば30年以上メンテナンス不要になることも。
住宅設備機器
ユニットバスやトイレも長年使用すると汚れが目立ちます。
数年に1回専門業者に依頼すれば数万円のコスト。
現在では驚くように汚れがとれる、また汚れがほとんど付かない住宅設備機器を使用することでメンテナンス回数が減ります。
ちなみに、150万円コストアップになったとしても、月々の支払アップは4千円程度です。
(フラット35で35年ローン、元利均等、金利1.2%の場合)
※各金額は一般的な大きさ、形状の住宅を想定しており、価格を保証するものではありません。
過度なローコスト住宅は良くない
一般的な住宅建設費は 施工費:材料費=1:1です
建設費を抑えるには・・・・
①材料費を削る |
②施工費(職人への賃金等)を削る |
③利益を削る |
どれかになります。
①材料費を削った場合
過度な材料費の削減はランニングコストの上昇を招き、トータルで考えると損をしてしまいます。
②施工費を削った場合
過度に施工費を削ると、職人への賃金が下がり、施エのモチベーションが低下するかもしれません。
③利益を削った場合
過度に利益を削ると、建設会社の業績が低下して将来まで面倒をみることができなくなるかもしれません。
また営業担当者等の待遇が低下して担当者がいなくなってしまうかもしれません。
どのようなものでもそうですが、住宅にも適正価格が存在します。
大きな買い物ですから、「安物買いの銭失い」にならないように気をつけたいですね。